MIDIギターとNMFを用いた音響信号処理の 統合によるギター演奏の自動採譜
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自動採譜とは、コンピュータによって楽器演奏を楽譜や MIDI データなどと言っ たフォーマットに変換することを指す。自動採譜は、音楽学習や演奏支援などの 分野において需要があり、音楽情報処理において重要な課題の一つである。数あ る楽器のなかでもギターは、ポピュラー音楽で頻繁に使用され、また演奏人口も 多い。そのため、ギター演奏を対象とした自動採譜は、大きな需要があり、重要 な課題の 1 つである。
ギター演奏をリアルタイムで自動採譜する機材に、MIDI ギターが存在する。 MIDI ギターは、コンピュータを用いて音楽制作を行う際に、ギタリストが自分の 慣れた楽器を使ってデータ入力ができるといった点において有用であるが、弦の 振動をピックアップで取得する構造のため、ピッキングの取りこぼしなどが発生 し、MIDI キーボードに比べると入力される演奏情報の正確性に難がある。特に、 ファンクなどのジャンルのコードカッティングの演奏において、3 つの問題が頻繁 に発生する。それらの問題は、存在する音の欠落、存在しない音の採譜、連続す る短い音の採譜である。
そこで本研究では、MIDI ギターピックアップによる処理と非負値行列因子分解 (Non-Negative Matrix Farcrization) による音響信号処理を統合することによって、 3 つの問題点を解決し、採譜の高精度化を目指す。まず、第 3 章では、音響信号処 理のみによる自動採譜手法について検討する。MIDI ギターと同様の用途で使用可 能なようにリアルタイムでの採譜を視野に入れ、音響信号処理は随時的な処理 (オ ンライン・アルゴリズム) にて採譜する。しかし、本来の NMF はオンラインでは採譜することができない。そこで、予備演奏を用いることでオンラインにに採譜 できるように改良する。その手法では、単純な閾値処理により発音を検出するが、 演奏者のくせや倍音などの要因により閾値決定が難しい問題がある。そこで、新 たに予備演奏を加えニューラルネットワークを用いて弦ごとに閾値調整を行い、発 音検出を行えるように改良する。単純な閾値処理による採譜手法とニューラルネッ トワークを用いた発音検出手法で各々の手法で評価実験を行ったところ、単純な 閾値処理において様々な閾値を試して最も良かった結果とニューラルネットワー クを用いた発音検出手法の結果が同等のものとなった。次に、第 4 章では MIDI ギ ターと 3 章で提案した手法とをオンラインに統合する手法を述べる。MIDI ギター と NMF による音響信号処理手法で採譜の傾向に違いが見られたため、傾向を考 慮した統合により MIDI ギターの問題点である存在する音の欠落、存在しない音 の採譜、連続する短い音の採譜を解決する。統合にあたり、積による統合と和に よる統合、ニューラルネットワークによる統合の 3 種類を提案する。それらの手 法について評価実験したところ、提案手法が MIDI ギターよりも平均の再現率が 0.067、適合率が 0.402、F 値が 0.279 向上した。第 5 章にて、今後の課題や展望に ついて述べる。そして、第 6 章にて結論を述べる。